【ネタバレなし】紅蓮館の殺人を読んだ感想

紅蓮館の殺人とは

紅蓮館の殺人

阿津川辰海先生が2019年9月に講談社タイガから発表した作品。
このミステリーがすごい!2020年版にて国内編第6位を獲得。

阿津川辰海・読書日記

紅蓮館の殺人のあらすじ

ミステリ小説好きの高校生二人組。

ひょんな事から勉強合宿の宿泊先の近くに、ファンである文豪(財田雄山)の別荘があることを知る。そして合宿中に抜け出して、財田雄山の別荘に尋ねることに。

ところが、別荘の捜索を行っているうちに、不意の落雷で山火事が発生し遭難してしまう。助けを求める為に、財田雄山の別荘に避難させてもらう事に。

救助を待つうち、館に住む同年代のつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。高校生二人組は真相を解明しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。館消失までのタイムリミットは35時間。
脱出と真相の解明、選ぶべきはどっちだ。

紅蓮館の殺人を読んだ感想

今回の作品は、少し理解するのに苦労しました。

と言うのも、財田雄山の別荘と言うのは、隠し扉や吊り天井など、様々な仕掛けが張り巡らされたトリックハウスと言う設定のためです。
一応挿絵は挿入されているため、視覚的に建物の構造などを理解する事は出来るのですが、私の頭にはすっと入ってきませんでした。

また、詳細は割愛しますが、過去に発生したある事件も紅蓮館の殺人の重要なファクターになっているため、視点移動が結構入ります。
そのため、普段小説を読みなれていない方には少し読みにくいかもしれません。

と、なんか「理解するのに苦労した」、とか「読みなれていない人には読みにくいかも」等と少しネガティブな論調になっている気もしますが、そんな事はなくて、小説としてはとても面白い物だったと思います。

主人公の高校生二人組のうちの一人、葛城は探偵としての推理力と人の嘘を見抜く力が優れている事で、登場人物の嘘を次々を見破っていく様は痛快でした。しかし、真理を追い求める余り、人の気持ちを鑑みることの出来ず、独りよがりになりがちな立ち振る舞いを、もう一人の高校生、田所君がうまく修正していく、バランスの良い主人公二人。

迫る山火事で今にも飲み込まれてしまいそうな緊迫感、しかし真実を追求したいという探偵の性。その狭間で揺れ動く心と、それを取り囲む他の遭難者達とのやり取りがリアリティに溢れていて、読んでいていつのまにか没入していました。

小説として値段もお手頃価格で販売されていますので、是非とも一度お手に取ってもらえたらと思います。

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